2017.3.2

次はどこへ? Lyさんの個展「SOMEWHERE」

グレートーンの世界、そこに黒くてニョキッとたたずむ”モンスター” と グラフティの”ワード”が象徴的な作品を生み出す、ペインターの Lyさん。
以前よりsnsをフォローしていたのですが「これらの素材、なかなか意味ありげだなあ」と感じていて今回個展にお邪魔し世界観を形成したヒストリーや、ペイントに対する想いをお伺いしてきました。

街から出て次の場所を探す「SOMEWHERE」

街を出発する夜を描いた作品は一番ダークな色

今回は、前回の個展の続展なんだとか。
幼少時代からペイントを続けてきて、自身がずっと描きたかったものを発表することができたという前回の個展、
そして今回の企画は、ちょっと立ち止まり、振り返ったり、模索、さて次はどこへ向かおう、という次の場所を探す個展「SOMEWHERE」。

帰路について気づいたのですが、今回の作品はいつも必ずと言っていいほど出てくるはずの”ネガティブなワード”が一つもなかった!次に見るものに対し新たな気持ちでフラットに向き合われているのかなあと。
でも、色味のトーンは昨年発表された作品よりも深みが増しているようで、モンスターと真逆に風景が直線で描かれている反する関係性が示すものも一つの材料となり、今回の個展の世界観が確立されていた気がしました。

Lyさんと一緒に作品を見渡し、
「どこに向かおうかといろんな街を訪れていて、絵によって道や木もさまざまな形・景色。全部違う。」と教えてくれました。
旅の断片を切り取ったようなペインティングたちがバラバラと並べられたレイアウトも、どこかまだ彷徨っている感じがでているような。。
実はこれ、壁一面にもなる大きなキャンバスに1つ1つの絵が描かれているのです。また、好きな絵の部分をカットして販売も可能というユニークな方法。


 

“モンスター” ”ネガティブなワード” ”グレー” = HATEまみれ

絵を描くことが好きだったLyさんは小学生の頃、友達と一緒にアートスクールに通い始めました。その友達の家庭はアート一家で圧倒的なデッサンのスキルに嫉妬して挫折。
それ以降、スクールには大人になるまで在籍したそうですがみんながデッザンを描く中、Lyさんは空想の中に住むモンスターばかり描いていたそう。
作品に登場するモンスターは”LUV(ルーヴ)”という名前。何かを訴えたそうなこの視線で、一度見たら結構焼付く存在感。

高校時代には、当時の彼氏がスケーターでストリートのカルチャーを知り”グラフティ(壁に描かれる大きな文字や絵)”を始めたのですが、また彼らのグラフティにも嫉妬。
でもLyさんは「自分の納得のいくまで描き続ける。修行のようで辛いけどそれが楽しいから、これでいっかという作品は絶対ない。」と。
どのアーティストさんももちろんそうだとは思うのですが、Lyさんが言うこの言葉にはパワーを感じました。挫折を味わった分、たくさんたくさん絵を描いてきたんだろうなというのが、体育会系で育った私にはガツンと響きました笑。

ペインティングの中に出てくる“HATE!”や”SHIT!”というワードは、絵がうまく描けないとか、Lyさん自身の苦悩の感情。それが作品を生み出す根源となってこの世界観が誕生したのですね。

八王子のプラネットパーク

また「色を使う意味」というのを見出せずずっと黒いペンで描いていたそうですが、グレーに出会うきっかけというのがあったそう。
「友達と八王子の山の上にあるスケートパークにスケートをしに行ったんだけど、滑り始めて間もなく捻挫して。痛いし帰りたかったけど、山の上だし。その時まさにHATEまみれだった。」
そんな状況で一人座って眺めていた時に、一面グレーのパークと自分の感情が一致して色の意味みたいなものがわかった瞬間があり、そこから黒ではなくグレーを使うようになったとおっしゃっていました。

“HATE!”や”SHIT!”、誰もがそれぞれ味わったことのある感情がテーマであるから身近に想って鑑賞できるんだと思います。
それだけでなく、今回の個展のように模索するということも表現するLyさんの素直でリアルな気持ちが顕著に表れている作品は、これからがとても楽しみです。

ちょっと先のお話もしてくださって、
「また次の個展もまだどこかへ行く途中。それでその次の個展ではやっとたどり着いてるというのを描こうと思っている。まだ全然どこかはわからないけど。」
今回の個展は昨日までだったので、次回の個展も続けて注目していただきたいです。
また、様々なショップの外壁や内装にLyさんのグラフティが潜んでいるので街中で出会えるかもしれません!例えば、原宿のキャットストリートのあるお店の外壁…。

インタビューなんて”SHIT!”とか言われちゃうのかなと一瞬よぎったけど笑、とても気さくでな方でした。
そしてやっぱりモノトーンなアイテムで身を包まれたLyさんはファッションに関しても注目していたいお方です。

「SOMEWHERE」

作者 Lyさん
東京生まれ。ペインター。
東京を中心に、パリ、バンコク、ロサンゼルスなど国内外でミュラール(建物などに描かれる壁画)を中心に活動中。
URL:http://www.ly-m.net/
場所 表参道 ROCKET
〒150-0001渋谷区神宮前4−12−10 表参道ヒルズ同潤館3F
11:00~21:00(Sun.~20:00、Wed.~18:00)
URL:http://www.rocket-jp.com/
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